世界遺産(2019年登録)

世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」
構成資産49基 完全ガイド

2019年7月6日、第43回世界遺産委員会(アゼルバイジャン・バクー)で「百舌鳥・古市古墳群-古代日本の墳墓群-」(大阪府堺市・羽曳野市・藤井寺市)がユネスコ世界遺産に登録されました。日本で23件目、墳墓のみで構成された日本初の世界遺産です。構成資産は45件49基——本マップはその49基すべてを、宮内庁見解・考古学的見解の両論と出典つきで収録しています。

⛩ 49基を地図で表示する English Guide
正式名称百舌鳥・古市古墳群-古代日本の墳墓群-(英名: Mozu-Furuichi Kofun Group: Mounded Tombs of Ancient Japan)
登録決定日2019年7月6日(第43回世界遺産委員会・バクー)
構成資産45件49基(百舌鳥エリア23基+古市エリア26基)
登録基準(iii)(iv)|日本で23件目

まず見るべき代表古墳

49基のうち、初めての訪問で外せない代表格がこちら。各カードから詳細ページ(出土品・被葬者論争・出典つき)へ進めます。49基すべては地図または一覧でご覧ください。

★ 世界遺産構成資産

大仙陵古墳

仁徳天皇陵古墳

前方後円墳 | 486m | 5世紀前半〜中頃 | 大阪府

墳丘長は2018年の再測量で486m(宮内庁・堺市の従来値は486m)とされ、いずれの値でも日本最大。3段に築成された前方後円墳で後円部の直径は約249m・高さ約35.8m、前方部の幅は約307m・高さ約33.9m(いずれも従来値。2018年の三次元測量では後円部径約286m・高さ約39.8m、前方部幅約347m・高さ約37.9m)。三重の周濠(内濠・中濠・外濠)に囲まれた巨大前方後円墳は本墳が唯一で、周濠を含む総面積は約47ヘクタール(甲子園球場の約12倍)に及ぶ。墳丘斜面は石を積み重ねた葺石で覆われ、頂部・くびれ部・前方部端に円筒埴輪列が配されていた。体積ではエジプトのクフ王ピラミッドを凌ぐとも試算される。2019年7月「百舌鳥・古市古墳群」としてUNESCO世界文化遺産に登録(日本で23番目の世界遺産)。「仁徳天皇陵」という名称は宮内庁の治定名であり、考古学的名称は「大仙陵古墳」または「大山古墳」として区別される。世界三大墳墓(クフ王ピラミッド・秦始皇帝陵・大仙陵古墳)のひとつに数える見解もある。

見学案内:見学は外濠沿いの遊歩道を歩くのが基本で、一周約2.8km(徒歩約40分)。隣接する大仙公園内の堺市博物館に埴輪等を展示。堺市役所高層館21階の無料展望ロビーから古墳全体を俯瞰できる。

★ 世界遺産構成資産

誉田御廟山古墳

応神天皇陵古墳

前方後円墳 | 425m | 5世紀前半 | 大阪府

墳丘長425mで全国第2位、墳丘の体積では日本第1位とされる前方後円墳。前方部を北に向けた3段築成で、後円部の高さは36m。くびれ部の両側に造り出しがあり、前方部頂上には方形の土壇が築かれている。二重の濠と外堤を備え、東側で内濠が大きく屈曲するのは、先に築かれた二ツ塚古墳を避けたためと考えられている。前方部北西側の崩落は地震によるとする説が有力である。宮内庁が応神天皇陵として管理し、2019年世界文化遺産「百舌鳥・古市古墳群」の構成資産となった。

見学案内:西隣の誉田八幡宮との間には緑の回廊が続き、古墳と神社が一体となった独特の景観が見られる。古市古墳群は鉄道(近鉄南大阪線)でのアクセスが良く観光の拠点として利便性が高い。

★ 世界遺産構成資産

上石津ミサンザイ古墳

履中天皇陵古墳

前方後円墳 | 365m | 5世紀前半 | 大阪府

墳丘長365mは全国第3位、百舌鳥古墳群第2位の巨大前方後円墳。3段に築成され後円部の高さは約27.6m。築造時は二重の周濠をもち(外側の周濠は1994年に確認され、埋没保存されている)、大仙陵古墳とともに百舌鳥古墳群の二大核心をなす。大仙陵古墳と同じく前方部を南に向け、大阪湾からの眺望を意識した台地西縁に築かれている。くびれ部の両側には造り出しが設けられ、後円部・前方部の頂上には埋葬施設が存在するとみられる円形の土壇が築かれている。外周は住宅地に接しており、周濠沿いを歩くと水辺の緑に囲まれた迫力ある景観が広がる。2019年世界文化遺産「百舌鳥・古市古墳群」の構成資産に指定。「上石津ミサンザイ」という名称は地名の「上石津(かみいしづ)」と「ミサンザイ(みさんざい)」の合成で、「ミサンザイ」はMisanzaiという音が「陵(みささぎ)」の訛りとも言われる。隣接する大仙陵古墳との距離は約800mで、2基の超大型前方後円墳が一直線上に並ぶ景観は古代の百舌鳥台地の壮大さを物語る。

★ 世界遺産構成資産

土師ニサンザイ古墳

ニサンザイ古墳(宮内庁:東百舌鳥陵墓参考地)

前方後円墳 | 300m | 5世紀後半 | 大阪府

墳丘長300mは全国第7位・百舌鳥古墳群第3位。3段築成の前方後円墳で前方部の高さは25.9m。前方部の幅が大きく広がり、後円部より前方部が高くなる、前方部の発達した新しい傾向を示す。「陵墓参考地」という指定区分のため、確定陵に比べて学術調査が比較的実施しやすく、堺市と宮内庁の共同調査(2004年・2010年)で墳丘構造の詳細が明らかにされた。百舌鳥エリアの南東端に位置し、堺市北区百舌鳥西之町に所在する。世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」の構成資産(2019年登録)。「参考地」という指定が「陵」(確定陵墓)とどう違うか:宮内庁は「被葬者不明だが皇族墓の可能性がある」と判断した場合に「参考地」を設定する。発掘調査の可否や管理主体が異なり、土師ニサンザイは「参考地」ゆえに学術的知見が得やすく、百舌鳥古墳群の構造研究において重要な事例となっている。

★ 世界遺産構成資産

いたすけ古墳

(宮内庁管轄外)

前方後円墳 | 146m | 5世紀前半 | 大阪府

墳丘長146mの前方後円墳。1955年(昭和30)8月、私有地だった古墳が開発業者に売却され、翌月には周濠に宅地造成用の橋が架けられたが、森浩一(当時泉大津高校教諭)や宮川徏(当時大阪歯科大生)ら考古学研究者の呼びかけで「堺市イタスケ古墳を護る会」が結成され、署名活動と買い取り募金を展開した。百舌鳥古墳群で陵墓以外に周濠込みの完全な姿を残す唯一の古墳だったことが訴えられ、堺市が古墳と橋を買い取り(後に国と折半)、同年11月に史跡仮指定、1956年5月に国史跡に指定された。戦後の文化財保護市民運動の原点とされ、周濠に残る橋の残骸はその名残である。後円部から出土した衝角付冑形埴輪は堺市の文化財保護のシンボルマークになっている。周濠には野生のタヌキが棲みつくことでも全国的に知られる。2019年世界文化遺産「百舌鳥・古市古墳群」の構成資産。

★ 世界遺産構成資産

津堂城山古墳

藤井寺陵墓参考地

前方後円墳 | 210m | 4世紀後半 | 大阪府

古市エリア北端の前方後円墳で、墳丘長210m(資料により208m)、後円部の高さ16.9m。前方部を南東に向けた3段築成で、くびれ部の両側に造り出しがある。幅の広い二重の濠と堤が巡る。室町時代に城として利用されたため改変を受けたが、規模と形状は復元可能である。後円部頂上の一部は宮内庁の藤井寺陵墓参考地で、その他は国指定史跡「古市古墳群」として公開されている。2019年世界文化遺産「百舌鳥・古市古墳群」の構成資産。

見学案内:陵墓参考地に指定された後円部頂の一部を除き、墳丘に自由に立ち入ることができる数少ない大型古墳。内濠部の北側にガイダンス棟「史跡城山古墳ガイダンス棟 まほらしろやま」があり、衝立形埴輪や円筒埴輪、再現された石棺などを見学できる。最寄りは近鉄南大阪線 藤井寺駅から北へ徒歩約17分。

★ 世界遺産構成資産

古室山古墳

(宮内庁管轄外)

前方後円墳 | 150m | 4世紀後半 | 大阪府

墳丘長150m・後円部高15.3mの前方後円墳。南北に張り出した台地の西側縁辺部に前方部を北東へ向けて築かれ、墳丘は3段、東側のくびれ部に造り出しがある。墳丘を巡る濠は埋没保存され、西側では水をたたえていた痕跡が確認されていない。古墳時代中期前葉の築造と考えられる。国指定史跡「古市古墳群」の1基で、2019年世界文化遺産「百舌鳥・古市古墳群」の構成資産。

あわせて巡る関連古墳

★ 世界遺産構成資産

御廟山古墳

(宮内庁:百舌鳥陵墓参考地)

前方後円墳 | 203m | 5世紀前半 | 大阪府

堺市北区百舌鳥本町に位置する墳丘長203mの大型前方後円墳。百舌鳥エリア第4位の規模(文化庁)で、後円部の高さは18.3m。前方部を西に向けた三段築成で、南側のくびれ部にのみ造り出しをもつ。現在は一重の濠が巡るが、築造時は二重の周濠であった(外濠は埋没保存)。「陵墓参考地」として宮内庁が管理するため立入は制限される。大仙陵古墳から南東へわずか約500mの距離にあり、二大古墳が近接する百舌鳥台地の景観を形成する。2019年世界文化遺産「百舌鳥・古市古墳群」の構成資産(49基中の1基)。「御廟山(ごびょうやま)」という名は、「御廟(ごびょう・みたまや)」すなわち貴人の霊廟に由来し、古来から陵墓としての格式が認識されてきたことを示す。宮内庁が「応神天皇参考地」として指定していることから、古市古墳群の誉田御廟山古墳(応神天皇陵・425m)との対称性が指摘されることもある。

見学案内:JR百舌鳥駅から南東へ徒歩約4分。周濠沿いの道から前方部・後円部を観察できる。近隣の大仙陵古墳や堺市博物館と合わせた見学が便利。

世界遺産の構成古墳 全49基

「大きすぎて見えない」古墳の楽しみ方

百舌鳥・古市の巨大古墳は陵墓として立入禁止のうえ、あまりに大きく地上からは「森」にしか見えません。攻略のコツは「登る・引く・比べる」です。

展望スポット: 堺市役所21階展望ロビー(無料・仁徳陵を一望)/百舌鳥古墳群ビジターセンター(大型映像)/堺市博物館(VR体験・大仙公園内)/古室山古墳の墳丘上(古市を一望)
間近で体感: 仁徳天皇陵 拝所・応神天皇陵 拝所/土師ニサンザイの周濠沿い
比べる: 当マップのサイズ比較機能でクフ王ピラミッド・秦始皇帝陵・東京ドームと実寸比較

半日モデルコース(百舌鳥エリア)

JR百舌鳥駅 → 大仙陵古墳拝所 → 大仙公園・堺市博物館(VR)・ビジターセンター → いたすけ古墳 → 御廟山古墳 → 土師ニサンザイ古墳(周濠一周)→ 帰路は堺市役所21階展望ロビー(三国ヶ丘・堺東方面)

半日モデルコース(古市エリア)

近鉄土師ノ里駅 → 古室山古墳(見学経路は現地案内を確認)→ 誉田御廟山古墳拝所 → 誉田八幡宮 → 津堂城山古墳+まほらしろやま → 近鉄藤井寺駅ゴール
※両エリアはJR・近鉄で移動可能。1日で両方巡るなら午前=百舌鳥・午後=古市が定番です。

当マップの御墳印帳機能で訪問記録をつければ、世界遺産49基のコンプリートに挑戦できます。

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出典・公式リンク